在宅酸素療法(HOT)
血中の酸素が不足している方が、不足している酸素を吸入する治療法で、酸素供給装置を使用して行います。カニューラと呼ばれるチューブを鼻に装着し、酸素ボンベから酸素を供給します。カニューラと呼ばれるチューブを鼻に装着し、装置から酸素を吸入します。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの疾患で肺機能が著しく低下した患者さんは、血液中の酸素が不足した状態(呼吸不全)になることがあります。このように、血液中の酸素が不足している方が、自宅など病院以外の場所で不足している酸素を吸入する治療法が「在宅酸素療法(HOT)」です。健康保険が適用されており、現在日本では約18万人の方がこの療法を行っています。家族と一緒に自宅で療養したい、リハビリに励みたいという方の心強い味方となっています。
在宅酸素療法の治療効果 |
息切れの改善 心臓への負担を軽減 長く歩いたり、運動をする能力が改善する 記憶力・注意力の低下を改善 入院回数を減らすことができる 生きがいのある生活を送ることができる |
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使用する酸素供給装置について
自宅で使用する酸素供給装置には、酸素濃縮装置と液体酸素があります。長所と短所を理解して上手に活用しましょう。
在宅酸素療法の外出スタイル
酸素濃縮装置の特長
酸素濃縮装置は空気から酸素を濃縮する装置です。在宅酸素療法をおこなっている患者さんの多くは酸素濃縮装置を使用しています。
操作が簡便で、電気さえあれば酸素の残量を気にすることなく使用し続けられるのが利点です。一方で、高流量の装置になるほど消費電力(つまり電気代の負担)が大きく、停電すると止まってしまいます。外出時や停電時には携帯用の酸素ボンベを使用します。近年ではバッテリーを内蔵した小型の酸素濃縮装置も増えてきました。
酸素濃縮装置の特長
酸素濃縮装置は空気から酸素を濃縮する装置です。在宅酸素療法をおこなっている患者さんの多くは酸素濃縮装置を使用しています。
操作が簡便で、電気さえあれば酸素の残量を気にすることなく使用し続けられるのが利点です。一方で、高流量の装置になるほど消費電力(つまり電気代の負担)が大きく、停電すると止まってしまいます。外出時や停電時には携帯用の酸素ボンベを使用します。近年ではバッテリーを内蔵した小型の酸素濃縮装置も増えてきました。
液化酸素装置の特長
設置型の親器に液体酸素を入れて、少しずつ気化させて気体の酸素をつくり出します。外出時には親器から携帯用の子器に液体酸素を自分で充填し持ち運ぶことができます。
電気代がかからず、子器が小型軽量という利点がある一方で、親器から子器への充填は高齢者にはやや困難です。最低でも月2~3回は親容器の交換が必要です。なおHOT開始20日前までに患者の居住する都道府県知事に「高圧ガス製造事業届け」を提出する必要があります。
在宅酸素療法(HOT)事業者
鼻カニューラで酸素供給
外出もできる
携帯用の酸素ボンベを使用すれば、外出も可能です。国内外の旅行にもでかけることができます。
携帯用の酸素ボンベは、専用のキャリーカートに入れて運べるほか、肩にかけたり、背中に背負ったりして移動が可能です。
メガネ一体型カニューラ
カニューラをつけて外出することに抵抗のある方もいると思います。メガネにカニューラをとりつけて一体化させ、目立たなくする方法もあります。メガネを普段かけている人にとっても便利です。
酸素ボンベ搭載可能な車いす
酸素ボンベや酸素ボンベカートを搭載できるホルダーがついた車いすを使用すれば、息切れで歩行が困難な場合でも行動範囲が広がります。当センターでは、2023年に開催した恒例の「COPD啓発ラング・ウォーク」イベントにて、酸素ボンベキャリーホルダーのついた車いすの試乗会を行いました。
在宅酸素を実施する際の注意点
-
吸入量と吸入時間を守る
- 酸素療法は、不足している酸素を補うためにおこなわれます。息切れなどの症状が改善しないからといって、酸素の量を勝手に上げたり下げたりせず、主治医に相談してください。
-
月に1回、診察を受ける
- 保険適用のためには月に1回(原則)、診察を受ける必要があります。
-
火気に注意
- 酸素は、燃焼を助けるガスです。火災の発生を防ぐため、火気の取り扱いに注意してください。
- 酸素吸入中は高熱の熱源、特に裸火(タバコ、ライター、ストーブ、マッチ、ロウソク、線香など)の周囲2m以内に近づかない。
- はずしたカニューラや延長チューブを裸火の周囲2m以内に近づけない。
- 酸素吸入中は、本人はもちろん、周りの人も禁煙を守る。
- ※ 熱がある、息切れが強い、咳がよくでるなど体調が悪いときは早めに主治医に連絡しましょう。
在宅酸素を実施する際の注意点
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吸入量と吸入時間を守る
- 酸素療法は、不足している酸素を補うためにおこなわれます。息切れなどの症状が改善しないからといって、酸素の量を勝手に上げたり下げたりせず、主治医に相談してください。
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月に1回、診察を受ける
- 保険適用のためには月に1回(原則)、診察を受ける必要があります。
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火気に注意
- 酸素は、燃焼を助けるガスです。火災の発生を防ぐため、火気の取り扱いに注意してください。
- 酸素吸入中は高熱の熱源、特に裸火(タバコ、ライター、ストーブ、マッチ、ロウソク、線香など)の周囲2m以内に近づかない。
- はずしたカニューラや延長チューブを裸火の周囲2m以内に近づけない。
- 酸素吸入中は、本人はもちろん、周りの人も禁煙を守る。
- ※ 熱がある、息切れが強い、咳がよくでるなど体調が悪いときは早めに主治医に連絡しましょう。
タバコをやめる
IHコンロに変える
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在宅酸素療法における火気の取扱いについて
燃焼性の高いガスである酸素を利用するため、火気による事故が起きています。厚生労働省の関連サイトに詳細があります。
在宅酸素療法をもっと知るために
HOT導入の際には、主治医やHOT事業者から様々な資料を使った説明があるはずです。併せて下記のような情報を覗いてみてもよいでしょう。気になる点は自己判断せず主治医に相談しましょう。
在宅酸素療法利用者の声
在宅酸素療法で仕事を続ける高村さん
“在宅酸素療法は家に籠るためでなく可能な限り体を動かし外に出るため”
Q:通勤はどのようにされていますか? | 家から会社まで車通勤です。駐車場に着くと先ず酸素ボンベと車椅子を下ろします。 |
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Q:COPDの症状の苦しさや息切れへの対策は? | COPDは吸っても吸っても息は入ってきません。まず吐かなければならないと教えられました。そのため口すぼめ呼吸をします。 |
Q:COPD患者さんがQOLを上げるにはどうしたらよいのでしょう? | 在宅酸素療法(HOT)になっていることは、家にいるためではなく酸素を使ってできる限り体を動かし外に出ることで、いかに酸素をうまく使って引き籠りにならないようにするかだと思います。 |
イメージ画像
畑に出て働くりんご農家の武井さん
“身体活動性の維持は大切、好きな仕事を持っていることも大切”
- 使っているのは液体酸素。現在24時間投与で労作時毎分3リットル、安静時2.5リットルの処方です。初めはなかなか受け入れてもらえず、酸素導入まで2年くらいかかりましたが、導入後は仕事に有用とわかっていただけて、今は導入を勧める患者さんに「先輩としてアドバイスを」とお願いすると(中略)「おめえさんも酸素を使ってみろや。これはいいぞ」と話してくださいます。